終局後の陣地の数え方として主に、日本ルール、中国ルール、純碁ルールの3つがあります。
何を『陣地』として数えるのか、アゲハマの処理の仕方、が微妙に異なります。
- 日本ルール、中国ルール、純碁ルール、それぞれの特徴と違い
- それぞれのルールで知っておくべきこと
結論:ルールの違いと知っておくべきこと
アゲハマの扱い | 陣地として数えるもの | 知っておくべきこと | |
日本ルール | 相手陣地を埋める | 石で囲われた空点 | ダメは陣地にならない 不要な手入れは、一手につき1目ずつ損する |
中国ルール | 相手陣地を埋めない 勝敗に関係せず | 石で囲われた空点と生きている石 | ダメも1目になる 手入れしても陣地は減らない |
純碁ルール | 相手陣地を埋めない 勝敗に関係せず | 盤上の石 | ダメも1目になる 手入れしても陣地は減らない 陣地が分かれると損する |
それぞれのルールの特徴を説明します。
日本ルール
- 死に石を取り上げ、アゲハマにする
- アゲハマ(取った相手の石)で相手の陣地を埋める
- それぞれの石で囲まれた「空点」を陣地として数える
アゲハマで相手の陣地を埋めて減らすので、アゲハマの数も勝敗に関わります。
自陣の空点を陣地として数えるため、不必要な手入れ(自陣を守る手)は1手毎に1目損してしまいます。このため、必要な手入れと不必要な手入れを見分ける力も必要になってきます。
不要な手入れをしても損にならな中国ルールの方が初心者には優しいルールで、日本ルールは手入れが必要かどうかの見極めが必要なので玄人向けルールですね。

図:日本ルール説明1
終局図です。どちらも対局中に石は取られていません。
×はダメ。
△は手入れが必要な場所です。
手入れをしてからダメを詰めていきます。

図:日本ルール説明2
1~3まで手入れをしてから、4~6のダメを詰めています。
A,Bの2個の白石は死に石なので、終局後アゲハマになります。

図:日本ルール説明3
アゲハマA,Bで白陣地を埋めます。
黒の陣地は〇:16目
白の陣地は□:15目
盤面で黒の1目勝ちですが、コミが通常6.5目あるので、コミ分を引いて、白の5.5目勝ちになります。
中国ルール
- 死に石を取り上げ、アゲハマにする
- アゲハマ(取った相手の石)で相手の陣地を埋めない
- それぞれの石で囲まれた「空点」と「生きている石」を陣地として数える
中国ルールでは終局時に相手の死に石をアゲハマとして取り上げますが、アゲハマで相手の陣地は埋めません。相手の陣地をアゲハマで埋めても良いのですが、結局相手の陣地として数えるので埋めても埋めなくても相手の陣地数は変わりません。
それぞれの「生きている石」とそれらで囲まれた「空点」を陣地として数えるので、不要な手入れをしても損はしません。
手入れをしても、「空点」⇒「生きている石」になるだけだからです。
囲碁クストなどの自動で勝敗判定をしてくれるアプリやブラウザゲームで採用されていることが多いです。
日本ルールの場合、黒白どちらの石でダメを埋めても勝敗は全く変わりません。しかし、中国ルールであることを知らずに、ダメ詰めをパスして相手がダメを埋めると損してしまいます。
- ダメも1目になる。ダメがまだあるときはパスしない。
- 手入れしても損しない。囲碁クエストなど勝敗が自動判定される場合は、誤判定をさけるために相手の石を取り切っておく。

図:中国ルール説明1
日本ルールの説明に用いた時と同じ終局図です。
手入れとダメ詰めを行います。
日本ルールではどちらがダメを詰めても陣地数に変わりはありませんが、中国ルールではダメも1目になるので、ダメも1目になるのでパスをして相手にダメを詰められると損します。

図:中国ルール説明2
1~3の手入れをして、4~6とダメ詰めを詰めています。
A,Bの白石は死石なので盤面からとりあげます。

図:中国ルール説明3
中国ルールでは取り上げたアゲハマで相手の陣地を埋める必要はありません。アゲハマで相手陣地を埋めても良いのですが、勝敗は変わらず手間になるだけです。
黒の空点〇:16目
生きている黒石:25目
黒の陣地:16+25=41目
白の空点□:17目
生きている白石:23目
白の陣地:17+23=40目
黒41目、白40目で盤面黒の1目勝ちですが、コミ6.5目を入れると、白の5.5目勝ちになります。
純碁ルール
- 石を置けなくなるまで陣地を石で埋める。
- 双方が石を置けなくなったら終局。盤面にある石の数が多い方が勝ち。
純碁ルールでは、盤面にある石の数が多い方が勝ちになります。アゲハマ(対局中に取った相手の石の数)は勝敗に関係ありません。
陣地が残り2マスになるまで石を置くことができます。残り1マスまで埋めてしまうと相手に石を取り上げられてしまうので注意が必要です。
中国ルールと同様にダメも1目になりますし、手入れしても損になりません。そもそも残り2マスになるまで石を置くので、手入れという概念がありません。
陣地が分かれてしまうと、それぞれの陣地で2マス残さないといけなくなるので、置ける石の数が減ってしまいます。
- ダメも1目になる。
- 自陣内を埋める前にダメを埋めてしまいましょう。
- 陣地が分かれると、つながっている場合より損する。

図:純碁ルール説明1
日本ルール・中国ルールの説明に用いた時と同じ終局図です。
純碁ルールでは、さらに石をできるだけ多く盤面に交互に置いていきます。純碁ルールでも、手入れ→ダメ詰めを先にします。それから自陣にも石を置いていきます。

図:純碁ルール説明2
1~3の手入れをして、4~6とダメ詰めをして、7以降自陣を埋めていきます。
それぞれの陣地で残り2マスになるまで埋めます。
図の状態からさらに自陣を埋めて残り1マスにしてしまうと、次に相手に石を取り上げられてしまいます。
黒の石:39目
白の石:36目
黒の陣地39目、白の陣地36目で盤面黒の3目勝ちですが、コミ6.5目を入れると、白の3.5目勝ちになります。
白の陣地が2つに分かれているので、日本ルールや中国ルールよりも白の陣地が2目少なくなっています。
最後に各ルールで勝敗が入れ替わる稀な例を次の終局図を使って示します。
ルールによって勝敗が入れ替わることは非常に稀なので、「そんなこともあるのか」くらいに思っておけば大丈夫です。
ルールによって勝敗が変わる稀な例


最後にルールによって勝敗が変わってしまう稀な例を示します。
この終局図は意図的に作成したものであり、実戦で現れるのは非常に少ないです。

日本ルールの場合:白0.5目勝ち
△部分はセキなのでどちらの陣地にもなりません。
黒の陣地(〇)は10目
白の陣地(□)は4目+6.5目(コミ)=10.5目
コミを入れて、白の0.5目勝ち
日本ルールでは、下方のセキは生きている石ですが、△の空点はどちらの陣地でもないとするので、△3カ所を含めセキの部分はどちらの陣地にもカウントされません。

中国ルールの場合:黒0.5目勝ち
△部分はセキなのでどちらの陣地にもなりません。
しかし、黒は3と打つことができ、この黒5子も黒の陣地となります。
黒の陣地:
〇(10個)+盤上の生きている黒石(33個)=43
白の陣地:
□(4個)+盤上の生きている白石(32個)+コミ(6.5目)=42.5
セキも生きている石(取られない石)であるため、中国ルールでは下方の黒石、白石もそれぞれの陣地にカウントされます。そして、黒3の箇所も1目とカウントされるのが、日本ルールとの違いになります。

純碁ルールの場合:白の1.5目勝ち
黒の盤上の石:39子
白の盤上の石:34子+コミ6.5目=40.5目
純碁ルールでは、盤上にある石を陣地として数えます。
黒は分かれて生きているので、つながっているときよりも置ける石が少なくなっています。
まとめ
日本ルール、中国ルール、純碁ルールについて説明しました。
最後に示したようなルールによって勝敗が入れ替わるのは極めて少ないですので、アマチュアの方は気にする必要はほぼありません。
ただ、囲碁クエストなどの中国ルールが採用されている場合、それを知らずにダメ詰めをパスしていると、ダメ詰め1目によって勝敗が変わってしまことがあるので、それだけは気を付けましょう。
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